No doubt!!!!!

関西の”8人の小人”と紡ぐFunkyな日々

遠い日の「エゴ・サーチ」の思い出

4/30-5/1大阪サンケイホールブリーゼ今江大地さん主演舞台「エゴ・サーチ」を観てきました。

 舞台自体の感想はいつか書けたらなと思いつつ、その前にこの舞台を観て思い出したことがあって、文字に残したいと思いエントリにあげることにしました。

 

先日観てきた舞台「エゴ・サーチ」はどんな話だったかをものすごく雑に書くと、今江さん演じる「一色」がひょんなことから自分の本名を検索(エゴサーチ)したところ、ネット上で自分と同姓同名・経歴もほぼ同じ人物を見つけ、そのもう一人の「一色」との関わりを通して思いもしなかった真実にたどり着く、というお話です。

 

この舞台を観て(舞台のお話とは少しズレるけれど)私も過去に作品の中で一色さんがしたことに似た経験をしたことがあることを思い出し、少し嬉しくなったので文章として残します。

 

ちょうど20年くらい前のお話。

新しい物好きの父のおかげで、周りの他のおうちより早い段階で我が家にはパソコンがありました。

あるとき、学校で「オーストラリアについて調べる」という宿題が出て、初めて”インターネット”というものを使って調べものをしました。

当時はインターネットが普及しだした頃で、♪ISDNはじめちゃん というCMが流れていた時代。今の光回線Wi-Fiの世界では信じられないくらいページの読み込み速度が遅くて。そもそもPC自体の動作が遅くて、「PCを立ち上げています」というアナウンスが出てからインターネットを使うまでに何分待ったことかと思うくらい、インターネットが最先端だけどちょっと不便な時代でした。(そういえばどのHPも阿部寛さんのサイトみたいなスタイルだったな。)

 

当時は小学生だったこともあって、学校でも”情報”という教育カリキュラムもなかったので、いわゆる「ネットリテラシー」「ネチケット」とかいうものも全く持ち合わせていないような時代でした。世の中的にもそういう概念って「知る人ぞ知る」だった気がします。

 

「オーストラリアについて調べる」でスタートし、そこから親の目を盗んでパソコンを立ち上げ、当時から大好きだった「V6」のことを調べたり「学校へ行こう」のホームページを観に行ったり。うちよりもさらに最先端なお友達のおうちがホームページを作っていて、そのサイトを観に行ったりし、私はインターネットの世界にどんどんのめりこんでいきました。(今のツイ廃も、今思えばこのときの経験が”三つ子の魂百まで”的レベルでしみついてしまったのかもしれない)

 

あるとき、何がきっかけか忘れたけれど”自分の名前で検索”をしてみることにしました。

今でこそ、自分の名前で検索したら有名人でもなんでもなくても最初に自分のFacebookのアカウントが出てきたり、就活生向けサイトでインタビューを受けてたらそのページがあがったり、部活の大会のプログラムや結果がヒットしたり、と自分の情報を得られる可能性はあるんだけど。

当時はまだホームページ自体が珍しくて、ましてや片田舎のなんの特色もない普通の小学生の私の情報がインターネットに上がっているわけもなかったけれど、純粋に「自分と同姓同名の人っているのかな」という好奇心から自分の名前で検索してみることにしました。

 

検索の結果、正しい数字は覚えてないけれど、名前の漢字表記に多少のゆれはあったものの同じ名前の読み方の人(のホームページ)を2、3人くらい見つけることができました。

中には男性のホームページもあって(私の名前は8割方女性に使われるけど男性にも使われる名前なので)、子供心に「え、この名前男の人も使うんだ・・・」とびっくりした覚えがあります。

※当時はハンドルネームとかいうものもあまり浸透していなかったからか、自分の名前で調べたとき以外にも本名でHPを開設している方が多かった印象があります。

 

自分と同姓同名の方を見つけたことが嬉しくて、数日間は同姓同名の方たちのサイトを隈なく拝見していました。

ある時、その見つけた同姓同名さんのホームページの中に「オーストラリア」という文字を見つけ、「この人と話してみたい!」と思い、メールアドレスが書いてあったので、ネットリテラシーという言葉を知らないキッズな私は何も考えずにそのHPの主にメールしてしまいました。

 

「はじめまして わたしも○○××(本名)といいます、小学生です。

学校の宿題でオーストラリアのことを勉強しています。

同姓同名の人を見つけて嬉しくなってメールしました」

こんな感じの文章だった覚えがあります。

(舞台で一色さんが、ネット上の一色さんと送ったメールに似ててちょっと恥ずかしい)

 

その翌日、同姓同名の方からメールの返信が届きました。確か内容は

・HPの主は確か中国・四国地方の大学4年生の女性

・そのHPは大学の授業で作ったホームページで、メールが届くと思わなくてびっくりした

・大学で海外系のことを勉強していて、近々オーストラリアに留学に行く予定

というものだった覚えがあります。

 

電子メールのやりとり自体が初めてだったこと、同姓同名の人とやりとりしていることと嬉しいことが多すぎて、このメールをはじめとしてやりとりしたメールはプリントアウトして残していました。(どこかやっちゃったけど)

※最初のメールは親に言わずに送ったけど、その後のメールはちゃんと保護者に報告していたのでご安心を

 

そのお姉さんとは数日に1通のペースでやりとりしていました。主にオーストラリアに関する話、お姉さんが大学で勉強していることの話、私がV6が好きだという話・・・・そんなたわいもないやりとりを続けていました。

オーストラリアに関する勉強は終わってしまっていたけれど、お姉さんが教えてくれるオーストラリアの話がとても面白くて、特にアボリジニのことが印象的で、学校の図書館でアボリジニに関する本を読み漁ってたことも思い出しました。

 

2カ月程度やりとりをしたところで、お姉さんがオーストラリア留学に出発するとのことでメールのやりとりは終わりました。お姉さんが本当に留学に行くから終わったのか、見知らぬ小学生との生産性のない会話を止めるための優しい嘘だったのかもしれないけれど、私のインターネットデビューは優しいお姉さんのおかげで楽しく安全な、いい思い出になりました。

 

お姉さんとのやりとりを通して、それまで知らなかった「大学」というものに興味を持って近くの大学の小学生用イベントに行くようになったり、街の海外派遣に応募しようと思えたり(落ちたけど)と、同姓同名のお姉さんとのやりとりを通して、私も思いもよらなかった情報を得ることができ、この経験がちょっとだけど人生のプラスになったような気がします。

 

今江くんの舞台を通して、完全に忘れていた、ちょっとだけ不思議で、でもいい思い出を思い返すことができました。

昨今インターネットに関わるマイナスな話やニュースを耳にすることが多いけれど、インターネットがいい使われ方をして、インターネットの世界が、私が経験したような優しい世界になってくれたり、舞台の世界のような、良い使われ方をしてくれたらいいな・・・とインターネットに生かされてる人間はそんなことをぼんやりと感じました。

 

舞台エゴ・サーチ、お話自体の完成度と演者さんたちのスキルが素晴らしく、皆さんにお勧めしたい舞台でした。再演があったらいいなと、熱望しておりますのでそのほうぼうの偉い方ぜひ、前向きなご検討をお願いいたします!!!!

(そのときは名古屋公演もお願いします)

 

 

追記***

20年も前のお話。そのお姉さんが今何をしているのか、名字が変わっているのかなとか、どんなお仕事してるのかなとか、ちょっと気になりつつ。(こういうの、探偵ナイトスクープ案件なのだろうか・・・・)

あ、でも「V6の話をさんざん聞いてもらっていたあのときの小学生は、今、V6がデビューした年に生まれた年下のアイドルのおっかけしてます」って報告するのは恥ずかしすぎるな・・・・・